早く治る五十肩・
時間のかかる五十肩の見極め方
最終更新日 2021/08/31
接骨院がくグループ代表
柔道整復師 山田 学 監修
肩の痛みがある方から『この肩の痛みは五十肩(四十肩)ですか?』と聞かれることがよくあります。
五十肩にはたくさんの種類があるって知ってましたか?
その中でも覚えていた方がよい五十肩の種類は大きく分けて2種類です。
ここでは五十肩の種類と治るのに時間のかかる五十肩を見極める方法についてわかりやすく説明していきます。
早く治る五十肩・時間のかかる五十肩の見極め方 もくじ
・五十肩ってどんなもの?
・五十肩の種類
・長くかかる五十肩の種類
・治るのに時間のかかる五十肩の見極め方
・肩の負担を減らす姿勢とケアの仕方
・まとめ
・五十肩ってどんなもの?
五十肩、四十肩との名称が一般的には使われていますが
これは四十歳、五十歳の頃になると
肩の痛みや腕が上がらないなどの症状が出てくることが多いので
四十の肩の痛み、五十の肩の痛みという意味が定着した言葉です。
・五十肩の種類
肩の痛みが起こり
肩の周りの炎症を確認したら
『肩関節周囲炎』と専門的にはこの症状名にまずはなります。
そしてそれから
より細かく状態をみて痛みの一番の原因になっている部位はどこかと探り
傷んでいる部位の名称で表していきます。
例えば
・上腕の前側の力こぶを作る筋肉の上の腱の炎症であれば『上腕骨長頭腱炎』
・肩の骨と腕の骨をつなぎとめている腱板という筋肉に炎症がおこれば『腱板炎』、
その腱に亀裂が入れば『腱板断裂』
・腕と肩をつなげる膜に炎症が起こりその膜が癒着してしまう『癒着性肩関節包炎』など
肩の状態を見ながらどの部位に炎症が起こっているのかを判断していき症状名を決定します。
・長くかかる五十肩の種類
よく『五十肩になると上がるようになるまで二年ぐらいはかかるよ』などと聞いたことはありませんか?
長くかかる五十肩は先ほど出てきた中の『癒着性肩関節包炎』と『腱板断裂』というものです。
・『癒着性肩関節包炎』とは
肩の骨と腕の骨を結ぶ関節包という膜に炎症が起こり
収まり、起こり収まりを繰り返して徐々におこるものです。
段々と関節包が硬く縮まっていきます。
この縮まって癒着した状態をはがしたり広げたりすることにとても期間がかかってしまいます。
『参考情報: 慢性癒着性肩峰下滑液包炎の病態 奈良県立医科大学整形外科』≫≫
・『腱板断裂』とは
肩と腕を結んでいる腱板という筋肉に亀裂が入り
肩と腕をつなぎとめることができない状態です。
腱板の切れる部位によっては
腕を内側にひねりながら上げると
肩が上がったりする場合もあります。
・治るのに時間がかかる五十肩の見極め方
治るのに時間がかかる五十肩と比較的早く治る五十肩はどちらも腕を上げる時に痛みがあります。
見分け方は自分の力では痛くて上げられないが、人にゆっくり上げるのを手伝ってもらえば上げることができれば
腱板炎や腱板断裂、上腕二頭筋炎など
腱板断裂以外は炎症が収まれば肩の痛みが軽減し、上がりやすくなる症状の可能性が高いです。
腱板断裂の場合は腱板の所に指を当てて自分で腕を上げる時に腱板の筋肉が硬くならなければ断裂している可能性が高くなります。
また自分でも上げることはできないし、人に手伝ってもらっても硬くて上がらない場合は癒着している癒着性肩関節炎の可能性が高くなります。
・肩の負担を減らす姿勢とケアの仕方
・肩の痛みがある時の過ごし方のポイント
肩の負担を減らす姿勢はこのようなものがあります
・腕の重さを肩にかけないように痛い肩の側の指を曲げて
シャツの襟やポケットなどに引っかけて肩の負担を減らす。
・肩の関節包を伸ばして刺激しすぎない姿勢をとることが大切です。
下のようにすると上下左右の関節が過度に伸ばされず安定します。
座っている時はタオルを折ったものをわきの下に挟み肩を安定させます。
仰向けで寝る時は肘の下にタオルケットを折ったものを引いて肩を安定させます。
横向きの時はタオルケットを折ったものを肘とわき腹の間に挟みます。
この時に肘が肩よりも30度くらい前に出るくらいが良いと思います。
腕が滑り落ちないように少しざらざらした感触のタオルの方が滑りにくくておすすめです。
・癒着した肩のリハビリのポイント
癒着性肩関節炎の場合には炎症の強い炎症期と炎症が収まって固まりのみの拘縮期に分かれます。
炎症期には無理に動かしてしまうと益々炎症が強くなり、より関節包が癒着することになるため
炎症が抜けてくると痛みよりも固まって動かしづらい、固まっているのを無理に動かすような痛みに変わってきます。
そうなりましたら、温めることが重要です。
もし近くの整骨院や整形外科にラジオ波が導入されていればラジオ波の治療もおすすめです。
ラジオ波で肩を芯から温めてから肩を動きにくい方向に繰り返し動かく事で癒着がはがれていきます。
ご自宅でできることは
お風呂によく浸かり、なるべく肩を温めてから痛い方の肩の腕をだらんとたらし、肩の力をなるべく使わないように意識しながら、手の重さを振り子のようにして大きく動かしていきます。
・まとめ
治るのに時間がかかる五十肩は『癒着性肩関節包炎』と『腱板断裂』。
≪見極め方≫
・自分でも人が手伝っても肩が固まって上がらない場合は『癒着性肩関節包炎』の可能性が高い
・人に手伝ってもらえば何とか上がるが肩甲骨の上の方の筋肉に力が入らなければ『腱板断裂』の可能性もある。
・腱板断裂の場合は腕を内側にひねりながら上げると上がることがある。
・肩の負担を減らす姿勢は指を服の襟やポケットに引っかけて肩の筋肉の負担を減らすこと。
・座っている時はタオルを折ったものをわきの下に挟む
・寝ている時は仰向けであれば肘の下にタオルケットを折ったものを敷く。
・横向きであれば腕を肩から30度くらい前に動かし、わきの下にタオルケットを折ったものを敷く。
その時は腕が滑り落ちないようにざらざらしたような素材の物を選んで使う。
最後に
『癒着性肩関節包炎』の場合も『腱板断裂』の場合も
五十肩と聞くと放っておいても大丈夫と誤解されがちですが
早期に治療を開始しないとかなり長引いてしまうこともあります。
人によっては夜に一睡もできないくらい辛い症状に進行してしまうこともあります。
肩を上げることがつらいという方はぜひ、お近くの整骨院や整形外科に行って治療してもらってください。