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ゴルフ・テニス好き必見!上腕骨内側上顆炎の病態と治療法を解説 | 接骨院がく整骨院/針灸整体院グループは日祝日も交通事故施術に対応

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ゴルフ・テニス好き必見!上腕骨内側上顆炎の病態と治療法を解説

最終更新日 2022/9/2
接骨院がくグループ代表
柔道整復師 山田 学 監修

ゴルフやテニス好きの皆さん。競技を行った後に、肘周辺に痛みが生じた経験はありませんか?その痛み、上腕骨内側上顆炎かもしれません。
「我慢できる痛み」「医療機関に掛かるほどじゃない」といって、そのまま競技を続けていると重症化する可能性があります。
本日は、「上腕骨内側上顆炎」の病態や、治療法などについて解説していきます。
この記事を読むことで、肘の痛みによる悩みが解決されるかもしれません。

ゴルフ・テニス好き必見!上腕骨内側上顆炎の病態と治療法を解説 もくじ

・上腕骨内側上顆炎とは?

・発生原因

・症状

・診断

・治療方法

・まとめ

上腕骨内側上顆炎とは?

はじめに、上腕骨内側上顆の場所について解説します。
手を下垂している状態で手のひらを前に向けたときに、肘の両側に骨の出っ張りが確認できると思います。
肘の内側(身体側)を上腕骨内側上顆、肘の外側を上腕骨外側上顆と言います。
そして、上腕骨内側上顆にはいくつかの筋肉が付着しており、掌屈(手首を手のひら側に曲げる動き)と回内(前腕を内側に回旋する動き)を担っています。
また、肘には内側・外側それぞれに靭帯も存在します。
この肘周囲の筋肉や肘の靭帯に負荷がかかり、炎症を引き起こすことで痛みが生じるのです。
ゴルフを競技している方に多いことから、別名「ゴルフ肘」と言われています。

発生原因

上腕骨内側上顆炎が生じる原因について解説していきます。

・ゴルフ初級者・中級者

上腕骨内側上顆炎は、ゴルフを始めたばかりの初級者や中級者に多いといわれています。
スイングフォームが整っていないため、肘に負荷がかかりやすい打ち方をしてしまい、肘の炎症を引き起こします。
右利きのゴルファーは、スイングをする時、右腕だけでなく左腕と腰を使って引っ張ります。
しかし、上腕骨内側上顆炎を引き起こす方は、左腕と腰がうまく使えず右腕で強引に振り下ろしてしまうため、上腕骨内側上顆に付着している筋肉に負担がかかってしまうのです。

・テニスプレーヤー

上腕骨内側上顆炎は、ゴルフと同様にテニスの競技者にも多いと言われています。
テニスのフォアハンド(利き手側からボールを打ち返すスイング)の際に、前腕の回旋が強くかかり上腕内側上顆炎を引き起こします。

・練習のやりすぎ

ゴルフやテニスの上級者とはいえ、毎日のように練習を行っていれば少しずつ筋肉や靭帯を痛めていきます。
わずかな負荷でも長期的に加われば、炎症を引き起こす可能性があります。そのため、適度な休息が必要となってきます。

・前腕を回旋する仕事・重いものを持つ仕事をする方

肘周囲の筋肉や靭帯に負荷がかかるのは、スポーツだけではありません。
前腕を回旋する仕事や重いものを持つ回数が多い仕事でも、上腕骨内側上顆炎を引き起こします。
工事現場でフリッカー(赤い棒)を振る仕事、金槌を使用する仕事、引っ越し業者やレンガ積みなどの仕事で発症することもあります。
また、パソコン業務の多いデスクワークでも、タイピングの際に前腕が内側に回旋しており、その状態が長時間続くと発症する可能性があります。

症状

上腕骨内側上顆炎の主な症状は、「痛み」です。
ゴルフやテニスに行った時、腕を曲げたり捻ったりした時、重いものを持った時、手を握った時などに、内側上顆周辺が「ズキズキ」と痛みます。
軽症のものであれば、少し休憩をとれば痛みが引いてきます。徐々に悪化していくと、痛みが引かず長期間の休息が必要になります。
また、重症化すると手術が必要になる可能性も考えられます。

診断

・圧痛

上腕骨内側上顆を押して、痛みが生じるかを確かめます。
押した際に前腕部まで痛みが走ったら、上腕骨内側上顆炎の可能性が考えられます。

・整形外科テスト

・Wrist Flexion Test

手のひらを向かいに見せるように肘を伸ばし、前腕の腹部が上を向くようにします(指先が下向き)。
そして、もう一方の手で手首に身体の向き側へ抵抗をかけていきます。
この時に、肘の内側に痛みが走ったら陽性です。
・Forearm Pronation Test

手のひらが上を向くように肘を伸ばします。
その位置から手のひらが下向きになるように手首を回旋させると同時に、もう一方の手でその動きを拮抗するように押さえます。
この時に、肘の内側に痛みが走ったら陽性です。

・エコー検査(超音波検査)

エコー検査では、筋肉・腱の状態を診ます。
筋肉・腱が傷ついていないか(断裂・変性)などを評価します。

・X線検査(レントゲン検査)

単純X線では、肘の骨の状態をみます。
骨に変形や石灰などが無いか、骨の位置不良が起きていないか等を評価します。

治療方法

・安静にする

上腕骨内側上顆炎は、炎症が起こって痛みが生じるものです。
そのため、まずは炎症を引かせるために安静にすることが第一選択です。
軽症のものであれば、数分から数十分で痛みが引いてきます。
スポーツによる発症であれば、休むという選択が可能です。しかし、仕事による発症で休むことができない場合は、肘に負担のかからない作業内容に変更するなどの業務調整が必要になります。

・ストレッチ

筋肉が硬いと肘の可動性が低下するため、動作時に肘へ負担がかかってしまいます。
そのため、上腕骨内側上顆炎に付着している筋肉の柔軟性を高めていき、肘にかかる負担を軽減していきます。
上腕骨内側上顆に付着している筋肉は4つあります。
・円回内筋:上腕骨内側上顆から橈骨(肘から先、親指側にある骨)へと伸びています。
前腕を内側へ回旋する「回内」という動き(親指が外から内に移動)に作用します。

・長掌筋:上腕骨内側上顆から手首へと伸びています。
手首を曲げる「掌屈」という動きに作用します。

・橈側手根屈筋:上腕骨内側上顆から人差し指・中指へと伸びています。
「回内」「掌屈」に加え、手首を親指側に曲げる「橈屈」に作用します。

・尺側手根屈筋:上腕骨内側上顆から小指へと伸びています。
「掌屈」に加え、手首を小指側に曲げる「尺屈」に作用します。

これらの筋肉が伸びるようにストレッチしてみてください。
しかし、痛みが強い炎症状態の際は、ストレッチにより炎症を強めてしまう恐れがあるため、安静にする必要があります。このような判断は難しいので、痛みが強い場合は専門家にアドバイスを求める方が良いでしょう。

・サポーターの使用

安静をサポートする、肘用サポーターを使用するのも良いです。。
どうしても日常生活や仕事で腕を使わざるを得ない方は、肘の負担を少しでも減らすためにサポーターを活用してみてください。

・フォームやスイングの修正

上腕骨内側上顆炎は、ゴルフの初級~中級者に多いと説明しました。その理由としては、フォームやスイングが崩れてしまい、肘に余計な負担がかかっている恐れがあります。
そのため、指導者や上級者から指導を受け、フォームやスイングを修正していきましょう。
また、練習のやりすぎも発症の原因です。
上達することを焦り、オーバーワークにならないよう気を付けましょう。

・体外衝撃波療法

体外衝撃波とは、元々、腎臓結石や尿路結石を体外から照射して、破砕することができる治療方法でした。
近年、低出力に設定し、ゴルフ肘などの炎症部分に照射し、神経を変性させて痛みを和らげる方法としても活用されています。

・薬物療法

消炎鎮痛剤を服用し、薬で炎症を抑えていきます。

・注射

痛みが治まらず腕を動かすだけで痛みが生じる場合は、肘の炎症部にステロイド注射や局所麻酔を行い、消炎・鎮痛を図っていきます。

・手術

基本的には、安静かつリハビリテーションで回復を目指していきます。それでも痛みが改善していかない場合には、手術が適応されることがあります。

まとめ

今回は、ゴルフ・テニスの競技者や、肘に負担のかかる仕事をされている方に発症しやすい、上腕骨内側上顆炎について詳しく解説してきました。
ゴルフやテニスを始めたばかりの若年者から、50~60代の方まで、幅広く発症しやすい疾患です。
軽症であることも多いですが、無理をすると症状が悪化して、痛みが長期化してしまう恐れがあります。
スポーツの練習量や仕事量を調整し、患部の安静を保つことも立派なリハビリです。
スポーツや仕事後に肘の痛みを感じたら、我慢せず早めのうちから接骨院などの医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。

参考文献
MSDマニュアル「上腕骨内側上顆炎」
https://www.msdmanuals.com/
リハビリテーションコンサルタント「『ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)』の痛みの原因と治療方法・リハビリについて解説します。」

『ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)』の痛みの原因と治療方法・リハビリについて解説します。


痛みwith:「内側上顆炎(ゴルフ肘と呼ばれる肘の内側の痛み)の症状・原因と予防法」
https://www.healthcare.omron.co.jp/pain-with/sports-chronic-pain/medial-epicondylitis/
GOLFZON「無理なスイングが引き起こす『ゴルフ肘』。原因や予防法を知り早めに対策を」

無理なスイングが引き起こす「ゴルフ肘」。 原因や予防法を知り早めに対策を


安部幸雄 他:「上腕骨内側上顆炎に対する直視下手術の経験」日本肘関節学会雑誌25 (2) 2018
伊藤岳史 他:「上腕骨外側上顆炎に対する収束型体外衝撃波治療における初期除痛効果」日本肘関節学会雑誌26(2) 2019
林典雄:「運動療法のための機能解剖学的触診技術-上肢-」株式会社メジカルビュー社P250-P252、P261-P272 2016