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鎖骨骨折はどんなときに起きる?原因や治療法を解説 | 接骨院がく整骨院/針灸整体院グループは日祝日も交通事故施術に対応

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鎖骨骨折はどんなときに起きる?原因や治療法を解説

最終更新日 2022/10/17
接骨院がくグループ代表
柔道整復師 山田 学 監修

鎖骨は体の表面に出ていて、肩をついて転倒した際に多いです。比較的、頻度の高い骨折ですが、固定することが難しく、完全に回復するには時間がかかったり、受傷時の状況によっては合併症を引き起こしたりすることもあります。この記事では、鎖骨骨折の原因や症状、治療法について解説します。

鎖骨骨折はどんなときに起きる?原因や治療法を解説 もくじ

・鎖骨とはどんな骨?

・鎖骨骨折の原因は?

・鎖骨骨折の分類

・鎖骨骨折の症状と対処法

・鎖骨骨折の治療法は?

・鎖骨骨折に対するリハビリの内容

・鎖骨骨折の治療中の注意点は?

・まとめ

鎖骨とはどんな骨?

鎖骨は首のすぐ下から左右それぞれに水平に伸びる、体表から簡単に確認できる骨です。真上から見ると、S字状にゆるくカーブしています。
肩甲骨と、胸の中央にある胸骨とを繋ぐ鎖骨は、肩甲骨の動きとともに連動するように動き、肩をスムーズに動かす役割をしています。

鎖骨骨折の原因は?

骨折のうち鎖骨骨折は約10%を占めていて、鎖骨は骨折の頻度が最も高い部位です。鎖骨骨折はどのような場面で起こり、どんな人に多いのかを解説します。

・どんな場面での骨折が多いのか

鎖骨骨折は、転倒した際に多いと言われています。鎖骨周辺や肩を打ち付けて直接衝撃が加わることや、腕をついたときの衝撃が伝わることが原因です。交通事故などによって強い衝撃が加わると、鎖骨周辺を通る神経(腕神経叢)を損傷してしまうこともあります。段差につまずくといった日常生活での転倒でも受傷する可能性は十分にあります。また、ラグビーやアメリカンフットボール、柔道などの競技中にも多く発生します。

・どんな人が骨折しやすいか

転倒しやすくなる高齢者に多いイメージがあると思われる方もいるかもしれませんが、活動量の多い若い人にも多く見られます。子どもから高齢者まで、どの年齢層においても鎖骨は骨折しやすい部位であると言えます。
また、新生児の1~2%が分娩時に鎖骨を骨折してしまうと言われており、骨折に気付かない場合もあります。鎖骨骨折と同時に腕神経叢を損傷している場合もありますが、特に治療の必要性はなく、多くは数週間で治癒します。

鎖骨骨折の分類

鎖骨は全身の骨の中でも比較的長い骨であり、部位により太さも異なります。よって、骨折しやすい部位があり、骨折部位により重症度も異なります。
また、骨折した鎖骨の部位や状態によっては、神経や血管の損傷などが伴ったり、治癒の状況に影響が出たりすることがあります。一般的に用いられている鎖骨骨折の分類とともに、どんな合併症が生じやすいかを解説します。

Class A:鎖骨の中央3分の1の部位に生じ、鎖骨骨折の約80%を占めています。折れた内側の骨が上側にずれてしまうこともあります。血管を損傷することは稀であると言われています。

Class B:鎖骨の外側3分の1の部位の骨折で、鎖骨骨折の約15%を占めています。肩や鎖骨の周辺を直接ぶつけることによって起こることが多く、Neer(ニア)の分類によりさらに以下のように分けられます。
Type1:鎖骨と肩甲骨の間の関節部分以外の骨折(関節外骨折)で、鎖骨と肩甲骨を繋ぐ烏口鎖骨靭帯の損傷がなく、折れた骨のずれも少ない状態です。
Type2:関節外骨折ですが、烏口鎖骨靭帯の断裂があり、折れた骨がずれる可能性のある状態です。
Type3:関節内での骨折であり、変形性関節症のリスクがあります。

Class C:鎖骨の内側3分の1での骨折で、鎖骨骨折の中では最も骨折頻度の少ない部位です。強い衝撃によって骨折することが多い部位で、胸骨と鎖骨の間の関節や、肺などを損傷することもあります。

鎖骨骨折の症状と対処法

鎖骨を骨折するとどのような症状が出るのか、鎖骨骨折の疑いがあるときにどのように対処すべきかを解説します。

鎖骨が折れている場合には、鎖骨周辺や肩の腫れや痛み、肩を動かした際の痛み、手のしびれといった症状が現れます。また、衝撃が加わって骨が折れた際にボキッという音が聞こえることもあります。
上記のような症状があり、鎖骨骨折が疑われる場合には、三角巾で腕をつり、腕を動かさないように安静を保ちましょう。三角巾がなければ、タオルや衣服などでも十分代用可能です。

また、以下のような症状を伴う場合には注意が必要です。
出血し骨が見えている場合には細菌が体内に入ってしまう危険性があります。また、骨折疑いのある側の胸や首が腫れていたりする場合には、衝撃や折れた骨により血管や肺が損傷している場合が考えられます。いずれの場合も、救急車を呼んで早急な治療を受けましょう。

鎖骨骨折の治療法は?

鎖骨骨折に対して行われる治療法について解説します。

・保存療法

鎖骨骨折では一般的に、保存療法が選択されます。鎖骨は、他の骨と比較して折れた骨が癒合しやすいという特徴があるからです。特に、子どもの場合は骨の成長過程であり治るのも早いので、保存療法が原則となっています。
ずれた骨を整復し、三角巾やクラビクルバンドという専用のバンドなどで固定します。
固定する期間は、一般的に4~6週間であり、年齢が低いほど短くなる傾向があります。
痛みが強い場合には痛み止めの内服薬が処方されることもあります。

・手術療法

折れた骨が大きくずれている場合や、粉砕が強い場合、骨が皮膚から飛び出している場合には手術を行います。また、ClassBの骨折は保存療法では骨が癒合しにくい部位であるため、手術を行うこともあります。一本の鋼線を鎖骨に通して固定する方法や、専用のプレートで固定する方法があります。手術の1~2日後に退院が可能ですが、抜糸や手術後の経過観察、リハビリで通院する必要があります。

また、血管や神経、肺の損傷がある場合には損傷した部位の手術を行うこともあります。

鎖骨骨折に対するリハビリの内容

保存療法、手術療法ともに骨が完全に癒合するまでには4~12週間かかり、骨の癒合状態に応じたリハビリが必要となります。

固定中や手術後間もない期間でも、鎖骨が動かないように固定しながら肩を動かし、肩関節が硬くなるのを防ぎます。最初は自分では動かさずに、専門家に動かしてもらい、徐々に自力で動かしたり負荷をかけたりしていきます。また、骨の癒合を促すために超音波治療を行うこともあります。
日常生活で固定している期間が長くなると、腕の筋力も低下してしまうため、筋力トレーニングも併せて行います。

鎖骨骨折の治療中の注意点は?

固定中は、骨折した側の腕の動きには注意が必要です。
肩甲骨と鎖骨は連動していて、腕を挙げるときに鎖骨も連動して動くため、専門家の指導の下で定められた範囲の中で腕を動かしましょう。また、物を持つのも控えましょう。
就寝時には骨折した側の肩が下にならないように注意が必要です。

まとめ

鎖骨骨折の原因や症状、治療法などについて解説しました。誰でも受傷する可能性のある骨折だからこそ、骨折の疑いがあるときの対処法を確認しておくことが大切です。

参考文献
喜久里 教昌、普天間 朝拓、他:当院における鎖骨骨折に対する保存的治療の検討、2008
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai/57/3/57_3_466/_article/-char/ja/
西原伸二、大月健朗、他:当院における鎖骨骨折の治療成績、2002
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai1951/51/1/51_1_92/_article/-char/ja/
田村哲也、橋本俊彦:小児鎖骨骨折の保存的治療、2018
https://ryotokuji-u.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=354&item_no=1&page_id=13&block_id=69
松野丈夫、中村利孝、他:標準整形外科学、P435・P776・P828-P829、2014