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若年者に多い指の第一関節の変形!マレット変形の病態と治療法を解説

最終更新日 2023/1/5
接骨院がくグループ代表
柔道整復師 山田 学 監修

スポーツや仕事で指先に強い衝撃が加わった後から、一般的に指の「第一関節」と呼ばれる指先の関節が曲がったように変形していませんか?
その症状は、「マレット変形」と言われています。
マレット変形は、ほとんどがボールを使用する球技スポーツが原因で発生する怪我であるため、若年者に多い症状です。
軽症なものが大半ですが、変形が強まると手術が必要になる場合も考えられるため、早めに専門家に相談するようにしましょう。
今回の記事では、「マレット変形」の病態や治療法などを解説していきます。

若年者に多い指の第一関節の変形!マレット変形の病態と治療法を解説 もくじ

・マレット変形とは?

・発生原因

・症状

・診断

・治療方法

・まとめ

マレット変形とは?

マレット変形は、日本語では「槌指」とも呼ばれており、DIP関節における指伸展機構の障害とされています。DIP関節というのは、指の関節のうちもっとも先端にある関節のことで、この関節で指を伸ばすことがなかなかできない変形のことを指します。
発症原因のほとんどは、指先に何かしらの物体が当たる、いわゆる“突き指”の際に発生します。
突き指をすることで、DIP関節部分周囲の組織が損傷され変形が起こります。
損傷される組織の種類によって、タイプが分類されます。

・腱の断裂タイプ

マレット変形のうち、DIP関節部に起こる伸筋腱の損傷のみが起こっている状態であり、ほとんどの場合は腱が断裂して起こるため、腱の断裂タイプと分類されます。
この伸筋腱は前腕から手首の背側を通って、DIP関節に付着します。指先を曲げた状態から伸ばす「伸展」という動きの働きをしており、伸筋腱が断裂してしまうと、指を伸ばす動きが困難となり、DIP関節が曲がった変形を起こしてしまうのです。

・骨折タイプ

骨折タイプは、マレット変形を発症する原因となった衝撃の際に、指の先端にある「末節骨」という骨が骨折を起こすことを指します。末節骨はDIP関節を構成する骨であるため、ここが骨折することによってDIP関節の運動障害を引き起こします。
末節骨には指を伸ばす伸筋腱が付着しているため、指を伸ばせなくなりますが、それだけでなく骨折したことで関節の安定性が悪くなり、脱臼を起こしてしまう恐れも考えられます。
骨折タイプは、腱断裂タイプよりも重症化する可能性があります。

・混合タイプ

混合タイプというのはその名の通り、腱損傷と骨折の両方が存在するタイプです。
基本的には骨折をしていれば腱の損傷も合併していることが多く、骨折のみ起こっていることは少ないです。
指を伸ばせないという症状はもちろんですが、混合タイプは関節周囲の組織の損傷部分が広いため、後遺症として変形が残りやすくなります。

・スワンネック変形

スワンネック変形は、関節リウマチで発症する指の変形で知られていますが、マレット変形が重症化することによってスワンネック変形化することが稀にあります。
スワンネック変形は、DIP関節が曲がり、逆に指先から2番目の関節であるPIP関節が過伸展(過度に指が伸びてしまうこと)してしまう変形のことを指します。その形が、指先が白鳥の頭、指の真ん中が白鳥の首、手が白鳥の胴体の様にみえることからスワンネック変形と言われます。
マレット変形を放置すると、DIP関節で指の伸展ができなくなり、屈曲した状態になってしまいます。DIP関節が伸びない分PIP関節で補おうと過度に指を反らしてしまうことで、周囲の靱帯が縮んでしまいスワンネック変形を引き起こしてしまうのです。

発生原因

マレット変形は、指を伸ばした状態で指先へ何らかの衝撃が加わり、DIP関節周囲に存在する筋肉や靭帯が損傷を起こしたり、末節骨が骨折したりして発症します。

・スポーツによる怪我

マレット変形のほとんどがスポーツによる突き指が原因です。
スポーツの中でもボールを使用する球技に多く、例えば野球やバレーボール、ドッチボールなどでよく発症します。
飛んできたボールを上手に捕ることができず、伸びた指先にぶつかり、その衝撃で腱損傷や骨折を引き起こします。
スポーツが原因で発症することが多いですが、指先に衝撃が加わる仕事でも発症することがあります。

症状

マレット変形の症状について紹介します。

・指の腫れ・痛み

強い衝撃により腱が損傷したり、骨折したりするため、周囲は出血や炎症による腫れを引き起こします。
炎症を起こしているため、関節に痛みが生じます。関節運動による痛みだけでなく、発症当初は安静にしているだけでも痛みが生じます。

・指の変形

組織の損傷や骨折を引き起こし、DIP関節を伸ばすことができなくなることで、DIPが曲がった状態の変形を引き起こします。
損傷や骨折が軽度であれば変形が明らかに見られないことも時折あります。
しかし、痛みや腫れにより関節を曲げた状態で保持することで、周囲の組織が硬くなり、指を伸ばしにくくさせてしまうこともあるため早期の治療が重要です。

診断

マレット変形と診断する判断材料、またマレット変形に似た指の病気との鑑別を含めて紹介します。

・へバーデン結節との違い

指のDIP関節に起こる有痛性の変形としては、マレット変形以外にも「ヘバーデン結節」というものがあります。
ヘバーデン結節は簡単に言えば指の関節に起こる老化による変形で、指に起こる変形性関節症とも言えます。
関節内の組織が摩耗することで動かすと痛みが起こったり、骨が変形することで見た目にも指の形が変形したり、指を動かすときのスムーズさが失われたりします。
ヘバーデン結節では、DIP関節に水ぶくれのようなできものが伴うこともあります。多くの場合、多数の指に発症します。マレット変形は受傷した結果起こってくる単一の指の変形である事とは対照的です。

・視診

マレット変形を診断するときには、指の変形具合を確認するため先ずは視診から始まります。
特にこのときに、他の指との比較も行います。安静時の変形具合だけではなく、指を曲げたとき、伸ばしたときの動き方や動いた後の指の状態も見ることで、指を伸ばす機能がしっかりと働いているかを確認していきます。

・X線検査(レントゲン検査)

レントゲン検査では、骨や関節の状態を確認することができます。どの程度変形しているのか、変形は骨の中でもどの部分に発生しているのかを確認することで、診断はもちろんですが病気の進行度を確認することができます。
さらにマレット変形は、末節骨の骨折を伴う可能性があるため、骨折が起こっているか確認することができます。

・エコー検査(超音波検査)

超音波検査は、腱や靱帯、骨など組織の状態を確認する上で非常に有用な検査です。
腱が断裂していないか、骨が折れていないかを確認することができ、腱断裂タイプか、骨折タイプか、混合タイプか判断することができます。

治療方法

マレット変形に対しての治療方法を紹介します。

・局所安静

マレット変形は、基本的には自然に治癒する病気であるため、局所安静が治療の第一選択となります。
そのため、受傷後は指を動かす関節運動を行ってしまうと、腱や骨が動いてしまい回復していかないため、動かさないよう固定するのが望ましいです。
痛みがある場合は、炎症が起こっていたり血腫がたまっていたりする状態が考えられます。あまりにも血腫が多い場合は穿刺して吸引することもありますが、そうでなければ安静に加えて冷却をすることで痛みを抑えていきます。

・装具

装具は指の安静を保つ為に使用されます。指はどうしても一本だけを動かさずに安静にすることは難しいですから、指を伸ばした状態で固定し、指が曲がらないようにして修復を促します。
装具の種類にはバネ式固定用装具やプラスチック製固定用装具などがあります。

・薬物療法

マレット変形に対して処方される薬は、基本的に鎮痛薬や抗炎症薬になります。
痛み止めも安静にした上で痛みがある場合に使用するのが基本で、薬を飲んで痛みが和らいだからといって、無理をすると変形が残ってしまう可能性が考えられるので、安静を徹底しましょう。

・手術

手術は、腱や骨を修復するためのものというよりは安静のサポートをするためのものだと考えてください。
指の一番先の骨と、二番目の骨をワイヤーで固定し、動かないようにすることで指を曲げられなくし、靱帯の断裂や骨折部分が修復されるまでの間局所を安静にします。
手術自体は日帰りで行えるような簡易的なものになります。

まとめ

今回は、突き指の一種である第一関節の変形が特徴的なマレット変形について詳しく解説してきました。
発症のほとんどがスポーツであることから若年者に多く発症します。
安静による自然治癒がほとんどですが、安静を守ることができず指を動かしてしまうと変形が強まる原因になります。
我慢せず早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。

参考文献
柳原 泰:「マレット・フィンガーについて」日本義肢装具学会誌 4(4) p287-290 1988
高橋正明 他:STEP 整形外科p126 2005
日本整形外科「マレット変形(槌指)」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/mallet_finger.html
ZAMST「マレット指」
https://www.zamst.jp/tetsujin/thumb/mallet-finger/