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胸椎・腰椎圧迫骨折とは?原因や治療法を解説 | 接骨院がく整骨院/針灸整体院グループは日祝日も交通事故施術に対応

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胸椎・腰椎圧迫骨折とは?原因や治療法を解説

最終更新日 2022/12/23
接骨院がくグループ代表
柔道整復師 山田 学 監修

腰に痛みが生じたり背骨が曲がったりするのは、高齢者だから仕方がないと思っていませんか?胸椎・腰椎の圧迫骨折は高齢者に多く、寝たきりの原因にもなるケガです。
この記事では、圧迫骨折の原因や症状、治療法や予防法について詳しく解説します。

胸椎・腰椎圧迫骨折とは?原因や治療法を解説 もくじ

・圧迫骨折とは?

・胸椎・腰椎圧迫骨折の原因

・胸椎・腰椎圧迫骨折の症状

・胸椎・腰椎圧迫骨折の診断方法

・胸椎・腰椎圧迫骨折の治療法

・胸椎・腰椎圧迫骨折の予防方法

・まとめ

圧迫骨折とは?

圧迫骨折は、背骨(脊椎)の神経の通り道をつくる骨(椎体)に特有に生じる骨折の1つで、脊椎椎体骨折とも呼ばれます。骨折と聞いて一般的に思い浮かべるのは、骨が割れたりヒビが入ったりして骨の連続性が経たれた状態かと思います。しかし、圧迫骨折は脊椎の椎体が衝撃によって潰れてしまった状態を指します。
圧迫骨折は骨粗鬆症などで骨が脆くなった場合に起こりやすく、橈骨遠位端骨折と大腿骨頸部骨折とともに、高齢者に起こりやすい三大骨折の1つとされています。高齢者に多く、運動時に痛みが生じやすい骨折のため、寝たきりの原因にもなってしまいます。
圧迫骨折は脊椎のうち、頚椎・胸椎・腰椎すべての椎体に起こる可能性がありますが、胸椎の下部から腰椎の上部にかけての胸腰椎移行部に最も起こりやすいと言われています。また、1つの椎体だけでなく複数の箇所を同時に骨折してしまうこともあります。

胸椎・腰椎圧迫骨折の原因

圧迫骨折は高齢者に起こりやすいとお伝えしました。具体的に何が原因で圧迫骨折に至ってしまうのか詳しく解説します。

・外的要因

高齢者の圧迫骨折でよく聞かれる受傷理由に、転倒による脊椎への衝撃が挙げられます。特に、尻もちをつくような形での転倒や、体重を制御できずに椅子に勢いよく座ってしまうと脊椎に大きな衝撃が加わります。
若い方の場合には、高いところからの落下や交通事故、スポーツでの激しい接触などが受傷のきっかけとなることが多いです。
また、中腰の状態で重いものを持ち上げた際に、胸椎や腰椎に負荷がかかることが原因で受傷することもあります。

・内的要因

高齢者に圧迫骨折が多い原因として、骨粗鬆症が挙げられます。骨粗鬆症は、加齢とともに骨が弱く折れやすくなっていく状態です。女性ホルモンであるエストロゲンは骨の形成を促し、古い骨を壊す細胞のはたらきを抑える役割をします。しかし、閉経とともにエストロゲンの分泌量が減少すると、骨の形成と破壊のバランスが崩れて骨量が減ってしまいます。よって、骨粗鬆症は男性よりも女性に多く、圧迫骨折も高齢女性に多く見られます。
また、腫瘍の骨転移などによって骨が脆くなり、圧迫骨折を受傷しやすい状態になってしまいます。骨粗鬆症も含め、骨が極端に脆くなっている場合には、せきやくしゃみなどの衝撃でも圧迫骨折に至ってしまうこともあります。

胸椎・腰椎圧迫骨折の症状

圧迫骨折に見られる代表的な症状として、腰部の痛みが挙げられます。特に寝返りや起き上がりの際に、痛みが強くなる傾向があります。背中の、圧迫骨折が生じているあたりを叩くと痛みが生じるのも特徴です。叩いたときの痛みを、叩打痛といいます。
骨折が生じた部位や程度によっては神経が圧迫され、足に痛みや痺れが生じることがあります。背中が曲がったり背が低くなったりするなど、見た目にも変化が現れたりします。
また、気付かないうちに受傷して痛みも生じず、別の症状や健康診断などで病院に行った際に圧迫骨折が判明したというケースもあります。

胸椎・腰椎圧迫骨折の診断方法

圧迫骨折の状態はレントゲンでよく確認できますが、神経症状が強い場合にはMRIを用いて神経の状態をみることもあります。また、骨粗鬆症の程度をみるために骨密度検査を行うこともあります。

胸椎・腰椎圧迫骨折の治療法

胸椎・腰椎圧迫骨折に対して行われる治療について解説します。

・保存療法

胸椎・腰椎圧迫骨折では多くの場合、コルセットを装着して安静を保つ保存療法が行われます。コルセットは基本的には患者さんの体型に合わせて作られ、コルセットが完成するまでの約1週間程度はベッド上での安静が必要となります。コルセットには、脊椎の動きを制限する他に、腹部に軽く圧をかけて痛みをやわらげるはたらきがあります。コルセットは柔らかい布製のものや、プラスチックや金属でできた硬いものもあり、硬い素材のほうが脊椎の動きをより制限します。コルセットは骨折部位を覆うように装着する必要があるため、複数箇所の骨折の場合にはコルセットの縦幅も長くなります。
骨折直後の急性期には、基本的には24時間装着し、専門家の指示に合わせて「就寝時以外に装着」「運動時のみ装着」というように、徐々に装着時間を短くしていきます。コルセットが完全に外れるまでの目安は約2ヶ月ですが、骨折の程度や活動量に合わせて期間は異なります。急性期には長時間装着する必要があり、特にプラスチック製のコルセットは通気性が悪いので、かぶれなどの皮膚トラブルには注意が必要です。

・薬物療法

痛みが強い場合には、痛み止めの服用も併せて行われます。また、骨粗鬆症の予防・改善のための治療薬を服用することもあります。

・手術療法

重度の圧迫骨折や痛みがひどい場合、骨折部の変形により神経を損傷する恐れがある場合には、手術療法が選択されることもあります。手術の方法には、以下のようなものがあります。

・椎体除圧固定術
圧迫骨折が生じている椎体の上下に金属のスクリューを入れ、そのスクリュー同士を金属の支柱で固定する方法です。骨折した椎体にかかる圧を小さくすることで骨の回復を促し、神経への圧迫を軽減するはたらきがあります。

・椎体増幅形成術
圧迫骨折が生じている椎体にメッシュでできた袋を挿入し、その袋の中にセメントを入れる比較的新しい方法です。従来はセメントのみを挿入していましたが、セメントが骨の外へ漏れ出し、副作用や圧迫骨折の再発が問題になっていました。この手術ではメッシュ袋の利用とセメントの成分の改良により、セメントの漏れ出しを防ぎ、骨を丈夫に保つ効果が期待できます。

多くの手術では、翌日から歩いたりリハビリを行ったりすることが可能です。しかし、手術の方法や状態によっては、手術後もコルセットの装着や、動作が制限される場合もあるので、専門家の指示に従ってください。

・リハビリテーション

コルセットが完成して運動の許可が出た場合や手術後には、リハビリテーションを行います。安静期間が長かった場合には、体力や筋力が大きく低下していることがあります。また、コルセットを長期間装着していると、体幹の筋力が低下しやすいです。落ちてしまった体力や筋力を取り戻す運動を中心に行っていきます。
圧迫骨折を受傷した原因が転倒であった場合や、今後も転倒のリスクがある場合には、転ばないような筋力トレーニングやバランス練習の他にも、杖やシルバーカーの使用の検討や自宅環境の見直しなども行います。
回復段階や手術の方法によっては、体幹をひねったり、大きく曲げ伸ばしをしたりする動きに制限が必要なことがあります。運動時に禁忌となる姿勢をとらないのはもちろん、日常生活での注意点の指導も行います。

胸椎・腰椎圧迫骨折の予防方法

圧迫骨折は高齢者に多く、寝たきりの原因になる可能性のある骨折です。圧迫骨折の予防のために心がけたいポイントを紹介します。

・骨粗鬆症を予防する

骨粗鬆症は圧迫骨折の大きなリスクであり、特に女性はホルモンの影響で骨粗鬆症になりやすいです。骨粗鬆症の予防には食事での心がけと適度な運動が大切です。
牛乳に多く含まれるカルシウムはもちろん、カルシウムの吸収の手助けをするビタミンDも大切な栄養素です。ビタミンDは魚や卵、きのこ類に多く含まれています。
また、日光を浴びることでビタミンDが生成されます。適度な運動で骨に負荷をかけることも骨粗鬆症の予防には大切なので、家の中での足踏みやスクワット、天気の良い日には散歩をするのがおすすめです。

・重いものを持つときは姿勢に注意

床などの低いところから重い荷物を持ち上げる動作は、腰に負担がかかりやすく、圧迫骨折やぎっくり腰の原因にもなってしまいます。
低いところから物を持ち上げる時には、腰の曲げ伸ばしではなく、膝の屈伸を利用して持ち上げましょう。

・転倒予防のための対策

圧迫骨折だけでなく腕や脚の骨折にも繋がるので、高齢者の転倒は防ぎたいところです。
適度な運動を行って下半身の筋力を維持するのも大切ですが、自宅内の環境にも目を向けてみましょう。年を重ねると小さい段差にもつまずきやすいので、段差が目立つようにテープを貼る、カーペットの端がめくれないように固定するなどの方法があります。屋外の移動の際に杖やシルバーカーを利用することを検討してもいいかもしれません。

まとめ

圧迫骨折の原因や症状、治療法や予防法について解説しました。受傷すると安静にしたりコルセットを長時間装着したり、日常生活にも大きな影響が出てしまいます。原因を知り、できる範囲で予防をしていくことが大切です。

参考文献
森諭史:骨粗鬆症患者の椎体圧迫骨折,脊柱変形とADL低下の関連、2002
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yotsu/8/1/8_1_58/_article/-char/ja/
佐藤貴一、白土修:高齢者の脊椎圧迫骨折に対する装具療法、2003
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspo1985/19/3/19_3_197/_article/-char/ja/
松野丈夫、中村利孝、他:標準整形外科学、P859-860、2014