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肩の痛みの原因は腱板損傷?四十肩・五十肩との違いは?

最終更新日 2022/10/20
接骨院がくグループ代表
柔道整復師 山田 学 監修

最近、腕が上がりにくくなったり、肩の痛みを感じるようになったりしていませんか?
「年のせい」「五十肩かもしれない」と思いがちですが、肩の痛みの原因は、腱板損傷かもしれません。この記事では、腱板損傷の原因や症状、四十肩や五十肩との違いなどについて解説します。

肩の痛みの原因は腱板損傷?四十肩・五十肩との違いは? もくじ

・腱板とは

・腱板損傷とは

・腱板損傷と四十肩・五十肩の違いは?

・腱板損傷の検査方法

・腱板損傷の治療法

・腱板損傷を予防するために

・まとめ

腱板とは

腱板とは、肩甲骨と上腕骨を繋ぎ、肩関節を安定させて腕を動かす役割をする筋肉群の総称で、回旋筋腱板や、ローテーターカフとも呼ばれます。腱板には、以下の4つの筋肉が含まれます。

・棘上筋:肩甲骨の後面上方にある筋肉で、脇を開くように腕を真横に上げるはたらきがあります。
・棘下筋:肩甲骨の後面の中~下方にある筋肉で、腕を外側に開くように回すはたらきがあります。
・小円筋:肩甲骨の後面の下方にある筋肉で、棘下筋と同様に腕を外側に開くように回すはたらきがあります。
・肩甲下筋:肩甲骨前面にある、比較的幅の広い筋肉で、腕を内側に閉じるように回すはたらきがあります。

ここに挙げたそれぞれの筋肉のはたらきは代表的な例であり、日常生活ではこれらの筋肉がバランスをとりながらはたらいて、肩や腕の動きに関わっています。

腱板損傷とは

腱板損傷とは、肩を酷使することで腱板が傷んでしまった状態です。腱板が微細な損傷を受けているものから部分断裂、完全断裂まで、重症度はさまざまです。
肩を動かすときに強い力が加わった際や転倒した際に、一気に断裂してしまう場合もあれば、肩関節の運動を繰り返すうちに徐々に損傷が進行してしまう場合もあります。

・腱板損傷の原因は?

腱板損傷の主な原因は、肩関節の使い過ぎであると言われています。スポーツにおいて投球動作などを繰り返したり、仕事で長年重いものを運んだりすることで腱板がすり減り、損傷してしまいます。肩関節を繰り返し動かすことで、損傷した腱板が周囲の骨とこすれ、悪化に至ることもあります。
腱板そのものが弱くなってしまい、腱板損傷を起こすこともあります。腱板が脆弱化する原因としては、加齢や喫煙、糖尿病、高脂血症などが挙げられます。
また、腱板損傷は、特に棘上筋に起こりやすいと言われています。棘上筋は肩甲骨の突起(肩峰)の下の狭い場所を通っているため、骨との摩擦が起こりやすいことが原因です。

・腱板損傷はどんな場面で、どんな人に多い?

腱板損傷は肩関節を繰り返し動かすことで起こりやすいため、野球やバレーボール、テニス、水泳、陸上の投擲など、腕を大きく動かす競技において多いスポーツ外傷です。
また、建築現場など、重いものを持つことが多い職種の人にも見られます。

年代としては、腱板が脆弱になりやすい50歳以上から損傷のリスクが高まり、60歳代がピークです。男女差はありませんが、喫煙習慣のある人や、糖尿病や高脂血症の方はよりリスクが高くなります。

・腱板損傷の症状は?

腱板損傷の代表的な症状として、肩関節の痛みが挙げられます。腕を持ち上げようとするときや夜間に痛みが生じ、安静にしていると落ち着くのが特徴です。腕を上げると痛みが生じますが、一定以上上げると痛みを感じにくくなることもあります。痛みと同時に、引っかかり感や「ゴリゴリ」といった音がすることもあります。
転倒など、肩に強い衝撃が加わって急性断裂が生じた場合には、安静時・運動時に関わらず強い痛みが続きます。

また、腕を上げにくくなるのも腱板損傷にみられる症状の特徴です。反対側の手の力を使えば上がるのに、自力で上げようと力を入れると痛みが生じたり、上げにくくなったりします。

日常生活では、髪の毛を洗うときや洗濯物を干すとき、寝返りをうつとき、洋服に袖を通すときなどに痛みや動かしにくさが生じます。

・肩の使い過ぎで起こりやすい障害にはこんなものも

棘上筋は、肩甲骨から肩峰をくぐるようにして、上腕骨へと繋がっています。正常な状態では、棘上筋と肩峰の間には滑液包というクッションの役割をする組織がありますが、使い過ぎなどが原因で炎症を起こした状態を肩峰下滑液包炎といいます。炎症によって腫れた滑液包や腱板が、腕を上げたときに上腕骨との間で圧迫されたり、挟み込まれたりして痛みが出た状態が肩峰下インピンジメント症候群です。
肩峰下滑液包炎や肩峰下インピンジメント症候群により、腱板損傷に至る場合もあります。

腱板損傷と四十肩・五十肩の違いは?

加齢とともに肩が動かしにくくなったり、痛みが生じたりする原因として、いわゆる四十肩や五十肩と呼ばれる障害があります。これらは、正確には肩関節周囲炎や凍結肩といい、腱板損傷と区別がつきにくい場合があります。四十肩や五十肩の原因ははっきりとは分かっていませんが、「中高年に多く発症し、既知の疾患には該当せず、明らかな誘因がなく、肩関節の痛みと拘縮をきたす疾患」と定義されています。

四十肩や五十肩は肩関節自体に原因があるとされているため、反対の手を使って腕を上げても、ある程度の角度まで持ち上げると痛みが生じます。一方で、腱板損傷は筋肉や腱の損傷であるため、腕を上げようと自分で力を入れると痛みが生じることが特徴です。しかし、インピンジメントが生じている場合には、力を入れなくても痛みが生じることもあり、鑑別が難しい場合もあります。

四十肩や五十肩は一般的に、炎症期、拘縮期、回復期という段階を経て治癒していきますが、腱板損傷は放置すると進行し、痛みが続いてしまいます。
また、四十肩や五十肩であっても動かしにくさ(拘縮)が残ってしまうこともあるので、肩の痛みや動かしにくさが生じた場合には専門家の診察を受けることをおすすめします。

腱板損傷の検査方法

腱板損傷が疑われる場合、まずは腱板がはたらくように力を入れて、痛みの有無や左右での筋力の差がないか確認します。併せて、インピンジメント徴候がないかも診ていきます。画像所見としては、レントゲンで肩関節の狭小化が見られないかを確認したり、MRIや超音波を用いて腱板の状態を確認したりします。

腱板損傷の治療法

腱板損傷に対して一般的に行われる治療法について紹介します。

・保存療法

高齢の方や、スポーツ活動をあまり行わない方、損傷の程度が小さい場合には、保存療法が選択されます。
痛み止めの内服や、関節内へのヒアルロン酸注射に併せ、リハビリテーションが行われます。

保存療法により、3ヶ月~半年程度で、約7割の方の症状が軽快し日常生活に支障をきたすことはなくなるとされています。

・手術療法

若年者やスポーツ復帰を目指す場合、完全断裂の場合、保存療法においても症状が改善しない場合などには、手術療法が選択されます。重症度によって行われる手術は異なりますが、どの術式も関節鏡視下で行われることが多く、傷口の大きさを最小限に手術を受けられます。

軽症の場合には、肩峰と腱板との接触をやわらげる肩峰下除圧術などが行われます。
中等度以上の場合には、腱板修復術が行われます。損傷した部位を切除して健常な部分を引き寄せて縫合したり、腱板の端を上腕骨に直接固定したりする方法があります。
広範囲の断裂の場合には、滑膜を切除したり、肩周囲の他の筋肉や太ももにある筋膜を移植したりすることもあります。

手術後の腱板損傷の再発は17~70%の割合で起こるとされていて、特に重症例では再断裂しやすい傾向にあります。しかし、再発した場合でも、症状は術前ほど強くないことが多いです。

・リハビリテーション

リハビリテーションは、保存療法としても必要ですし、手術後にも必要になります。
肩を動かす訓練やストレッチ、腱板や肩周囲の筋肉のトレーニングを主に行います。自宅でできるトレーニングの指導をされる場合もありますが、誤った方法ややりすぎは腱板損傷の悪化や再発の可能性があるので、必ず専門家の指示に従って行いましょう。

腱板損傷を予防するために

加齢に伴う腱板損傷の予防は難しいですが、スポーツ場面での使い過ぎによる腱板損傷はある程度予防できます。運動前にしっかりストレッチを行うこと、正しいフォームを身に着けすること、練習のしすぎを防ぐことが大切です。特に、自己管理が難しい子どもの場合は保護者や指導者が管理する必要があります。

まとめ

腱板損傷の原因や治療法などについて解説しました。加齢とともに腱板損傷のリスクは高まり、四十肩や五十肩との区別がつきにくいため、肩の痛みや動かしにくさがあったら早めに専門家の診断を受けましょう。

参考文献
原正文:投球障害肩のリハビリテーション治療、2018
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/55/6/55_55.495/_article/-char/ja/
井樋栄二:腱板断裂の治療とリハビリテーション、2019
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/56/8/56_56.650/_article/-char/ja/
松野丈夫、中村利孝、他:標準整形外科学、P451-453、2014