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頚椎症とは? 原因や症状について解説

最終更新日 2022/6/29
接骨院がくグループ代表
柔道整復師 山田 学 監修

最近、手足が痺れる、歩きにくいというような症状はありませんか?
首や手足に痛みや痺れが現れたり、歩きにくくなったりする疾患の1つに、頚椎症が挙げられます。
頚椎症は、加齢により発症しやすくなる疾患であり、誰にでも発症する可能性があります。
この記事では、頚椎症の概要や症状、治療法について解説します。

頚椎症とは? 原因や症状について解説 もくじ

・頚椎症とは?

・頚椎症の原因は?

・頚椎症の症状

・頚椎症の検査方法

・頚椎症の治療法

・頚椎症に対して、日常生活で心がけること

・まとめ

頚椎症とは?

首の骨(頚椎)を構成する骨同士を繋ぐクッションの役割をする椎間板は、加齢により変性がみられます。椎間板の変性によって、椎間板が押しつぶされたり、周囲の骨が変化したりすることで、神経を圧迫し、首やその周辺にさまざまな症状を引き起こしている状態を頚椎症といいます。
また、頚椎は7個の骨から成りますが、上から5番目と6番目の骨の間、6番目と7番目の骨の間に起こりやすいとされています。
頚椎症は加齢により生じる疾患であり、40歳代以降で発症が見られ、年齢を重ねるごとに患者さんの数は増えていきます。また、男性の患者さんは女性の約2倍いると言われています。この男女差の原因は特定されていませんが、激しいスポーツの経験がある人や、喫煙者に多く発症することが分かっています。

頚椎症の原因は?

頚椎症の原因は、加齢による椎間板の変性ですが、椎間板の変性のみでは症状は起こりません。椎間板の変性により、次第に椎体と椎体の間が狭くなる、とげのように変化した骨(骨棘)が生じる、骨と骨を繋ぐ靭帯が硬く厚くなる、椎間板が潰れて飛び出すなどの変化が生じることがあります。その結果、脊柱の中(脊柱管)を通る脊髄や、脊髄から伸びる神経を圧迫することで症状が現れます。
頚椎症により、脊髄が圧迫された状態を頚椎症性脊髄症、神経が圧迫された状態を頚椎症性神経根症といいます。また、これらの両方が合併した状態を頚椎症性脊髄神経根症といいます。

頚椎症の症状

頚椎症性脊髄症と頚髄症性神経根症では、圧迫される神経の部位が異なるため、似た症状が出ることもあれば、異なる症状が出ることもあります。

・頚椎症性脊髄症

脊髄の首の部分(頚髄)は、肩から指先にかけての感覚や、運動を司る神経に繋がっています。また、脳と下半身の神経を繋ぐ通り道でもあるため、足の感覚や運動にも障害が現れることもあります。
具体的には、首のうしろの痛み、ボタン掛けや箸の使用などの細かい作業が困難になる、足の運びがぎこちなくなったり、速く歩けなくなったりする歩行障害が挙げられます。
また、痺れ、触覚や痛みの感じにくさ、何も触れていないのに痛みを感じるといった、感覚異常が両手足に生じます。頻尿や失禁といった排泄の障害(膀胱直腸障害)がみられることもあります。
初期症状としては、両手足の痺れと歩行障害が多く報告されています。
歩行障害が生じますが、脚の筋力が衰えるわけではなく、脚の筋肉が過度に緊張した状態になります。

・頚椎症性神経根症

頚椎症性神経根症は、つぶれた椎間板や骨棘が、脊髄から伸びる神経を刺激することで症状が現れます。頚椎症によって圧迫される神経は、肩や腕、手などの運動や感覚を司る神経に繋がります。よって、片側の肩から指先にかけて症状が現れるのが特徴です。
具体的には、痺れや脱力感、触覚や痛みを感じにくい、または何も触れていないのに痛みを感じる感覚異常などが挙げられます。
また、首のうしろに痛みが生じることもあります。

頚椎症の検査方法

まず初めに、首を曲げたり頭部を押したりして、痛みが生じないか等を簡単に検査し、頚椎症が疑われた場合にはレントゲンを撮影します。
レントゲンの画像により頚椎症の診断はほぼ確実となりますが、圧迫部位や原因の特定、靭帯の状態変化をみるためにはMRI検査が行われます。

頚椎症の治療法

頚椎症の治療は、痛みをやわらげたり、症状の進行を防いだりするための保存療法が基本となりますが、場合によっては手術を行う場合もあります。主な治療法について紹介します。

・リハビリテーション

温熱療法やマッサージ、専用の器具を用いて首を引っ張る牽引療法が行われます。また、首に負担をかけないように、姿勢や日常生活においての指導も行われます。
首の動かし方やマッサージ方法によっては、症状が悪化する場合もあるため、必ず専門家の指導の下で行いましょう。

・装具療法

レントゲンでは、頸椎や肋骨など骨の状態をみます。
骨に変形などがないか、骨の位置不良が起きていないかなどを評価します。

・薬物療法

痛み止めとして、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)が主に処方されます。その他にも、痺れを伴う痛みや、鋭い痛みに対しては、神経障害性疼痛治療薬、筋肉が過度に緊張している場合には筋緊張弛緩剤、手の細かい動きが障害されている場合や、痺れがある場合にはビタミンB剤が用いられます。

・神経ブロック療法

痛みが強い場合には、神経ブロック療法が用いられることもあります。首の後方の痛みが生じている部位に局所麻酔薬を注射し、痛みを脳に伝達する神経の働きを抑制することで、痛みをやわらげる方法です。

・手術療法

歩行障害や手の動きの障害、排尿障害により日常生活に大きな影響を及ぼしている場合や、上記に挙げたような治療で効果が見られない場合には、手術が選択されます。
手術の目的として、症状の進行を防ぐことと、症状を軽快することが挙げられます。しかし、これらの目的がどの程度達成されるか、術後にどの程度まで症状が改善されるかを、術前に正確に予測することは困難と言われています。一般的には、症状が出現してから手術までの期間が長いほど、術後の症状の改善は不十分であると考えられています。

頚椎症に対しては、主に頚椎前方到達法または頚椎後方到達法が行われます。
頚椎前方到達法は、仰向けの状態で首の側方の皮膚を切開し、脊髄の圧迫を取り除き頚椎を固定する方法です。
頚椎後方到達法はうつ伏せで行い、首の後方の皮膚を切開し、脊柱管を広げて脊髄の圧迫を取り除きます。
どちらの術式においても、手術の翌日にはベッドから起き上がることが可能で、術後10日~2週間程度で退院となります。退院後1年程度は定期的に診察が必要であり、状態によってはリハビリテーションの継続が必要なこともあります。

頚椎症に対して、日常生活で心がけること

頚椎症の予防や、頚椎症を悪化させないために、日常生活では首を過度に動かさないことが大切です。
首を過度に前後に動かしたり、回したりしないだけでなく、うつぶせの姿勢を避ける、長時間首を曲げた状態を避けるといった心がけが大切です。また、背中を丸めた姿勢では、背中や腰だけでなく、首へも負担がかかります。特に長時間のデスクワークなどを行ったり、スマートフォンを操作したりする際は、注意が必要です。机や椅子、パソコンの高さを調整するなどして、負担のかからない姿勢を保つようにしましょう。

まとめ

頚椎症の原因や症状、治療法などについて解説しました。
足に症状が出るため、首に原因があるとは考えにくく、原因の特定が遅れてしまう場合も考えられます。
違和感を感じた場合には、専門家の診察を受けることが大切です。

参考文献
田中雅人 他:頚椎症脊髄症の診療ガイドライン、P67-P71、2010
https://www.jstage.jst.go.jp/article/joma/122/1/122_1_67/_article/-char/ja/
松野丈夫 他:標準整形外科学、P532-P536、2014