膝から音がする?音の種類と膝の疾患の関係について解説
最終更新日 2021/11/10
接骨院がくグループ代表
柔道整復師 山田 学 監修
最近膝から音がするんだよな。どんな原因が考えられるんだろう。音がしているようだけど、耳で聞こえなかったり、音はするけど痛くなかったりするんだよな。膝の状態について解説お願いします。
そんな膝の音でお悩みの方にお送りします。
膝から音がする?音の種類と膝の疾患の関係について解説
【膝から出る音の種類】
・〈パキッと高い音〉
・〈ギシギシなる音〉
・〈グシュグシュなる音〉
・〈コリコリする音〉
【各疾患について解説】
・〈変形性膝関節症〉
・〈半月板損傷〉
・〈タナ障害〉
・〈腸脛靭帯炎・鵞足炎〉
まとめ
・【膝から出る音の種類】
膝を動かした時や日常生活でのちょっとした動作で、膝から音がなることがあると思います。一口に音と言っても、人により音の出方は様々です。ここでは、音の種類と考えられる膝の状態について解説していきます。
・〈パキッと高い音〉
甲高い音が鳴る場合は、半月板の一時的な引っかかりが考えられます。半月板は、膝の曲げ伸ばしの時に動く構造になっています。痛みを伴わない場合は、特に心配はいりません。
別の原因としては、関節内の滑りを良くする液体(関節液)が原因ということも考えられます。関節には骨と骨をつなぐ袋(関節包)があり、その袋の中は、関節液と言う液体で満たされています。関節液は、骨の動きを良くする潤滑剤の役割をしています。関節を深く曲げると、関節の中に吸引されるような圧(陰圧)がかかり、関節液の中に気泡ができます。この気泡が弾ける時に、甲高い音が鳴るとされています。1度音が鳴ると、圧の関係からしばらく音がしません。
・〈ギシギシなる音〉
ギシギシなる音は、膝関節の変形を疑います。変形の初期は、膝のクッション材である半月板がすり減って、関節の隙間が徐々に無くなってきます。変形が進行すると、関節の隙間が完全に無くなります。半月板は完全に擦り切れ、軟骨もすり減ってしまいます。ここまで変形すると、激痛を伴います。膝を滑らかに動かす組織が擦り切れてしまうため、きしむような音がするようになります。
・〈グシュグシュなる音〉
柔らかいものが挟まれるようなグシュグシュする音は、膝のお皿の裏の滑膜の影響を考えます。滑膜とは、関節を包んでいる袋の内側にある膜のことで、ここから関節液が分泌されます。負担がかかる場所には滑膜が異常に増えてしまいます。この増えた滑膜が関節に挟み込まれることによって、音がします。耳で聞こえる音というよりは、関節を動かした時に体で感じたり、手を膝に当てたまま動かすと、音を感じたりする程度です。リウマチの方も滑膜が増えやすいので、この音がしやすいと考えられます。
・〈コリコリする音〉
スジを弾くような音がする場合は、筋肉の影響を考えます。主にももの外側にある腸脛靭帯という大きなスジや、ももから膝の内側にかけて走行する筋肉の影響が考えられます。疾患としては、腸脛靭帯炎(ランナー膝)や鵞足炎という疾患名が当てはまります。
両方とも、特定の筋肉に負担がかかってしまい、筋肉が硬くなってしまったり、炎症が起きてしまったりする疾患です。膝を動かした時に、筋肉も色々な方向に滑走します。筋肉が硬くなってしまった影響により、滑走が悪くなりコリコリとスジを弾くような音が生じます。耳で聞こえる音というよりは、自分の体で音を感じたり、触るとわかる程度の音になります。
・【各疾患について解説】
ここからは、上記でご紹介した疾患について解説していきます。
・〈変形性膝関節症〉
半月板は、膝関節にあるクッションの役割をする組織です。スポーツで膝を捻ってしまったり、歳をとり脆くなってしまったりすることにより、半月板が損傷します。特にスポーツでは、半月板の損傷と同時に、靭帯の損傷をしてしまう人もいます。過去に膝の怪我をしたことがある人は、膝の不安定性があり、それが原因で半月板の損傷を引き起こしてしまう人もいます。
半月板を損傷してしまうと、そこから出血したり、膝に水が溜まったりします。損傷した部位が関節に挟み込まれると、ロッキングといい、激痛と共に膝を動かすことができなくなってしまうこともあります。
半月板の損傷の仕方は様々で、縦に断裂してしまったり、横に断裂してしまったり、擦り切れてしまったりします。特に半月板の外側の損傷であれば血流があるため、治りは良いですが、半月板の内側の方を損傷してしまうと、血流が無い部分なので、自然に治ることは難しくなってしまいます。自然に治ることが見込めない場合は、手術が必要になる場合もあります。手術は関節鏡で行いますので、傷口は小さくて済みます。半月板の損傷の程度にもよりますが、損傷している部分を縫合して修復したり、損傷している半月板を切除してしまったりして、膝の関節面を整えていきます。
・〈半月板損傷〉
半月板は、膝関節にあるクッションの役割をする組織です。スポーツで膝を捻ってしまったり、歳をとり脆くなってしまったりすることにより、半月板が損傷します。特にスポーツでは、半月板の損傷と同時に、靭帯の損傷をしてしまう人もいます。過去に膝の怪我をしたことがある人は、膝の不安定性があり、それが原因で半月板の損傷を引き起こしてしまう人もいます。
半月板を損傷してしまうと、そこから出血したり、膝に水が溜まったりします。損傷した部位が関節に挟み込まれると、ロッキングといい、激痛と共に膝を動かすことができなくなってしまうこともあります。
半月板の損傷の仕方は様々で、縦に断裂してしまったり、横に断裂してしまったり、擦り切れてしまったりします。特に半月板の外側の損傷であれば血流があるため、治りは良いですが、半月板の内側の方を損傷してしまうと、血流が無い部分なので、自然に治ることは難しくなってしまいます。自然に治ることが見込めない場合は、手術が必要になる場合もあります。手術は関節鏡で行いますので、傷口は小さくて済みます。半月板の損傷の程度にもよりますが、損傷している部分を縫合して修復したり、損傷している半月板を切除してしまったりして、膝の関節面を整えていきます。
・〈タナ障害〉
膝のお皿の裏(特に内側)の滑膜ヒダが原因で生じる、引っ掛かりのことをタナ障害と呼びます。日本人の約半数に滑膜ヒダは見られます。膝の屈伸をきっかけにして、滑膜ヒダに炎症が生じて発症します。膝のお皿の内側に滑膜ヒダが挟み込まれるため、膝を曲げ伸ばしした時に、コリコリやポキポキなどの音がすることがあります。
痛みが出てしまったら、まずはアイシングやもものストレッチなどを行い、手術以外の方法で症状の緩和を目指します。症状が緩和しなければ、関節鏡を用いて滑膜ヒダを切除する手術を行う場合もあります。しかし、ほとんどの場合、手術をしなくても症状が軽快することが多いため、まずはしっかりとストレッチや筋トレをして、症状の緩和を目指しましょう。
予防方法としては、ももの前の筋肉(大腿四頭筋)の硬さが問題になることが多いため、大腿四頭筋のストレッチや、ももに負担が集中しないような動作練習、膝以外の部位の筋力強化などを行います。
・〈腸脛靭帯炎・鵞足炎〉
腸脛靭帯は、ももの外側にある大きな靭帯です。この靭帯は膝を動かす時にももの骨と擦れます。ももの外側の筋肉に負担がかかり、腸脛靭帯の緊張が強い状態が続くことによって、擦れる力が強くなり、炎症が生じてしまう疾患です。別名はランナー膝と呼ばれており、長距離のマラソン選手に多い症状です。マラソン以外にも、多く走る競技の選手にも症状が見られることがあります。
原因は、オーバーユースと言われています。トレーニングのしすぎや、走行環境が悪いことにより体に負担がかかってしまうなど、様々な原因が考えられます。
同じようなオーバーユースが原因で生じるのは、鵞足炎です。鵞足とは、膝の内側にある筋肉が集まるようにくっついている部位を指します。ここが炎症を起こす疾患を、鵞足炎と言います。鵞足炎は、膝が内側に入ってしまうような体の使い方になっている人や、お尻の筋力が落ちている人に多く見られる症状です。ランナー膝と同様に、オーバーユースが原因で痛みにつながります。
これらの予防方法としては、足のストレッチをしっかりと行うことと、筋力強化です。痛みが出てしまったら、専門家に見てもらい、どの部分のストレッチをしたら良いか、どの部分を筋トレした方が良いか、判断してもらうことも良いでしょう。
・まとめ
今回の記事では、膝の音の種類と、考えられる疾患について解説してきました。心配ない音がある一方で、関節の変形が疑われるものまで、様々な音を紹介してきました。比較的、音が出てもストレッチや筋トレで対応ができる部分が多いです。まずは、なぜ音がするのかを特定し、適切にアプローチすることが必要になってきます。専門的な知識を使わなければ原因がわからないこともあるため、まずは専門家の意見を聞きにいくことも良いと思います。