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手首に大きなコブが出現!ガングリオンの病態と治療法を解説

最終更新日 2022/10/7
接骨院がくグループ代表
柔道整復師 山田 学 監修

手首に大きなコブが出現した経験はありませんか?
そのコブは、もしかしたら「ガングリオン」かもしれません。
何やら難しそうな名前の病気で、あまりなじみが無いと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は多くの人に見られる良性の腫瘤(しゅりゅう)です。
手首の痛みなどが出現するため、我慢せず接骨院などの医療機関にご相談するようにしましょう。
今回は、「ガングリオン」の病態や治療法などを解説していきます。

手首に大きなコブが出現!ガングリオンの病態と治療法を解説 もくじ

・ガングリオンってなに?

・ガングリオンってどこにできる?

・ガングリオンに似た疾患

・発生原因

・症状

・診断

・治療方法

・まとめ

ガングリオンってなに?

ガングリオンとは、関節包という関節を包んでいる袋状の膜や、腱鞘という腱を包む組織の近くに発生する良性の皮下腫瘤です。
腫瘤はやや固い皮膜の中にゼリー状の物質が包まれている構造をしています。
関節の辺りに出現するため、初期の頃から関節を動かした時に瘤が盛り上がるのを見つけることがあります。腫瘤は時間がたつとだんだんと大きくなり、次第に膨らみが目立つようになってきます。
膨らみを触ると、固い腫瘤を皮下に触れることができます。
とくに腫瘍自体が浸潤したり、転移したりするような悪性のものではないため、症状がない場合とくに放置しても問題はありません。しかし大きくなって神経やその他の組織を圧迫するようになると、関節を動かしたり触ったりした際に痛みを感じるようになります。さらに放置すると、安静時にも症状を認めるようになります。

ガングリオンってどこにできる?

ガングリオンは全身どこでも出現する病気ですが、最も多いのは手首です。
特に手首の甲に見られるものが約7割を占めています。次いで手首の掌側、足の背の順に多くなっています。

ガングリオンに似た疾患

コブが出現したからといって、全部がガングリオンとは限りません。
ガングリオンに似た皮下腫瘍には、さまざまなものがあります。

<類表皮嚢胞>
もともと皮膚は深い層で、新しい皮膚の表皮細胞が次々と産生されます。古いものほど表層へと新陳代謝されていき、垢となって剥がれ落ちていきます。しかし、垢のような老廃物が皮膚や皮下にとどまってしまうことで起こるのが、類表皮嚢胞です。そのままでも特に症状は無く、触ってもなかなか分からない事が多いのです。しかし、嚢胞の中に感染を起こすとなかなか治癒しにくく、痛みが続くことになります。

<滑液包炎>
滑液包炎とは、関節に起こる炎症です。特に膝関節の内側や前方、もしくは肘関節の後方に発生します。関節を酷使することで、関節にある滑液包の中に液体が貯留し発症します。関節を動かすと痛みを感じます。

<脂肪腫>
脂肪腫は、皮下にできる良性の腫瘍でも多く診られる腫瘍です。脂肪細胞が腫瘍化して増殖し、皮下に塊を作る事で、皮膚の膨隆が見られます。腫瘍自体は柔らかく、表面から触ると腫瘤の境界がわかりやすいのが特徴です。

<その他の皮下腫瘍>
皮下組織にできる腫瘍の多くは脂肪腫やガングリオンですが、その他にもさまざまな種類の皮下腫瘍があります。身体診察だけでははっきりと診断がつかないことも多く、手術で取って組織を調べる事が多くなります。

発生原因

ガングリオンは関節包や靱帯の粘液変性によって起こるなどと言われていますが、はっきりとした原因は分かっていません。ただし少なくとも、関節をよく動かすことで発症しやすいことは間違いないようです。

・手首に負荷のかかるスポーツ・仕事

ガングリオンの好発部位は手首ですが、やはり手首をよく動かすスポーツや仕事の場合は、発症する可能性が高くなります。具体的にはテニスやゴルフなどのスポーツや、ドライバーをよく回す仕事、パソコンでのタイピングを続けるような仕事で発症しえます。

症状

ガングリオンの主な症状をご紹介します。

・手関節の痛み

手関節にガングリオンができ、ある程度大きくなると周囲の組織を圧迫して痛みが出ます。手首の背側にできた場合は、手首を背屈した際、すなわち手の甲側に手首を傾けた時に痛みを感じます。

・手の痺れ

ガングリオンが神経を圧迫すると、神経が刺激されてビリビリ、ジンジンと言った痺れの症状を認めることがあります。
手首の掌側には「正中神経」「尺骨神経」、背側には「橈骨神経」といった手の運動や感覚機能を司っている神経が走行しているため、ガングリオンがこれらの神経を傷害してしまうことで症状が出現します。

・手首の関節可動域制限

ガングリオンが大きくなると、関節が動くのを邪魔してしまい、関節が動かしにくくなります。
また、痛みや痺れが生じるため関節運動を控えてしまい、それが原因で関節が硬くなってしまう可能性も考えられます。

診断

ガングリオンの診断方法についてご紹介します。

・視診・触診

皮膚や皮下組織の診察は、まず見て、触ることから始まります。ガングリオンは皮下にあるはっきりした腫瘤です。そのため、表面から見ると皮膚が膨隆しています。触るとやや固めの腫瘤が触れ、皮膚を動かすと皮下の腫瘤がぐりぐりと動きます。痛みがそれに伴って起こることもあります。

・コブの内容物の確認(注射針で刺す)

触診でガングリオンが疑わしい場合は、注射器で刺して内容物を吸引します。それにより、内部のゼリー状の物質を吸引できます。

・エコー検査(超音波検査)

超音波検査では、境界明瞭で内部に液体が貯留している像が確認できます。

・X線検査(レントゲン検査)

ガングリオン自体はレントゲンでは映りません。ですので、小さいガングリオンの場合は特に異常所見を認めないことが多いです。
しかし、大きくなってくると関節がゆがんで骨の位置がずれることがあり、間接的にガングリオンの存在を疑う事ができます。

・MRI(核磁気共鳴映像法)

MRIでは、内部に液体が貯留した境界が明瞭な腫瘤として確認ができます。また、神経や関節包との位置関係を調べることができます。

治療方法

ガングリオンの治療方法についてご紹介します。

・局所安静

ガングリオンのある関節を頻回に動かす事で、痛みが起こってくることもありますし、ガングリオンがどんどん大きくなってしまうことを助長してしまいます。そのため、ガングリオンのある関節を安静にすることで、痛みを抑えるだけではなく、大きくなることを防ぐことができます。時折安静にすることによってガングリオンが小さくなることもあります。

・注射で内容物を吸引

診断の際と同じように、注射器で針を刺して内容物を吸引することで腫瘤のサイズを小さくすることができます。腫瘤が小さくなることで症状を抑えることができますが、ガングリオンができる環境は変わらないので、放置すると再度腫瘤が大きくなってきます。

・薬物療法

ガングリオンを治療する薬物療法はありません。しかし、ガングリオンによって起こる痛みを抑えたり、周囲に起こっている炎症を抑えたりするために、消炎鎮痛剤やステロイド薬を使用します。

・手術

根本治療は手術になります。特に重要なのは、腫瘤の一部を取り去るのではなく、腫瘤全体を摘出する事です。また、ガングリオンができやすい環境を改善するために、関節鏡を利用して周囲の組織の形状を整える手術も行われる場合があります。

まとめ

今回は、手首に出現しやすい瘤であるガングリオンについてご紹介しました。
ガングリオンは皮膚にできる腫瘤のなかでもよく診られる疾患です。ガングリオンと診断された場合は、先ずは安静と対症療法で経過を見ますが、症状が強い場合や再発を繰り返す場合は手術を行います。
早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。

参考文献
糸満 盛憲 他:整形外科学 p248,p421,p426 2016
中村利孝他:標準整形外科学 p118,p148,p165 2004
高橋正明:STEP 整形外科p235〜236 2005
堀 司郎 他:「神経内ガングリオンによる尺骨神経麻痺の2例」整形外科と災害外科 1986
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai1951/35/1/35_1_269/_pdf/-char/ja
日本整形外科「ガングリオン」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/ganglion.html
MSD Manuals「ガングリオン」
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/08-%E9%AA%A8%E3%80%81%E9%96%A2%E7%AF%80%E3%80%81%E7%AD%8B%E8%82%89%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E6%89%8B%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%B3