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足首から音がする現象について解説!音の種類と考えられる原因とは?

最終更新日 2021/10/29
接骨院がくグループ代表
柔道整復師 山田 学 監修

時々足首から音がするけど、これってなんなんだろう。別に痛く無いし、なんか鳴らした方がスッキリする感じがするな。このまま関節を鳴らしてもいいのかな?誰か関節に詳しい人、教えて!
そんな、足首の音が出てしまう人にお送りします。

足首から音がする現象について解説!音の種類と考えられる原因とは?


【関節の音がするとは?】
【関節の構造】
【ポキポキなる状態とは?】
 ・【足首が緩くなる原因は、足関節捻挫】
 ・【関節ネズミ】
 ・【ギシギシ鳴る場合】
 ・【変形してしまった時の治療法】
 ・【ゴリンと音(感覚)がする場合】
まとめ

・【関節の音がするとは?】

関節の音がする状態とは、一体どのような状態なのでしょうか?
関節の音がするメカニズムを知るためには、関節の構造を理解する必要があります。

・【関節の構造】

関節は、骨と骨がバラバラに存在しているわけではなく、関節包という袋で骨はつながっています。骨と骨の間は関節腔と呼ばれ、わずかに隙間が存在します。その隙間は関節液で満たされています。

・【ポキポキなる状態とは?】

では、関節の構造がわかったところで、どのようにしたら関節が鳴るのでしょうか?ポキポキと鳴る音は、気泡が弾ける音とされています。関節内に気泡?と疑問に思う方も多いと思いますので解説していきます。
ポキポキ音が鳴る関節というのは、指が代表的だと思います。男性だと一度は指をポキポキ鳴らしたことはあるのではないでしょうか。指を鳴らすのには、しっかりと関節に力を加えないとならないことを経験していると思います。
骨と骨が離れるような強い力(牽引力や深く曲げる力)が関節にかかると、関節包が引き延ばされます。すると、関節包の中の圧力が陰圧(吸引される圧力)になります。関節内の圧力が陰圧になると、関節液が一部気化して、関節内に気泡が発生します。この気泡が弾けることにより、ポキポキと音がなります。これが関節の音がなるメカニズムの一種です。

下記の文献では、関節がポキポキなる原因を関節内に発生した気泡が原因としています。気泡の振動で、ポキポキという音がすると結論づけています。

参考情報:クラッキング音の原因の流体力学的考察と教育効果への期待≫≫

・【足首が緩くなる原因は、足関節捻挫】

では、足首の場合は、どのようになると音が鳴りやすくなってしまうのでしょうか?ポイントは関節にかかる負担でしたよね。そこから考えると、足関節捻挫を経験している人は、足首が鳴るリスクがあると言えます。
足関節捻挫は、いわゆる靭帯損傷です。足首の靭帯は、関節の構造を強固にする役割があります。靭帯の他にも、筋肉や関節包の硬さによって、関節は強固になっています。しかし、足関節捻挫を経験してしまい、靭帯を伸ばしてしまったり、損傷してしまったりすると、靭帯の制動力が落ちてしまうため、関節包や筋肉にかかる負担が増加してしまいます。そうすると、関節には引き延ばされるストレスがかかりやすくなり、上記で説明したように音が鳴るようになってしまう可能性が出てきます。

下記の文献では、足関節捻挫で受診した人の15%に、外側の靭帯が完全損傷している可能性があることを指摘しています。また、高校生の受傷頻度が最も多いとされています。

参考情報:足関節捻挫における靭帯損傷について≫≫

・【関節ネズミ】

関節ネズミも、関節を動かした時の音の原因になることがあります。関節ネズミとは、骨や軟骨の一部が、関節内に浮いた状態となってしまうことを言います。離れ小島になっているので、関節の中を自由に動いてしまいます。その結果、関節が動いた時に挟み込まれそうになり、音がするというメカニズムです。関節に挟まってしまわない限り、痛みはありませんが、挟まってしまうと、関節を動かすことも大変になってしまいます。
関節ネズミのイメージは、野球選手の肘などを想像する方も多いと思いますが、足首にも関節ネズミができる可能性はあります。原因は、足首の捻挫にあります。捻挫というと靭帯損傷のイメージがありますが、靭帯損傷だけでなく、細かな骨折がある場合に関節ネズミとなってしまいやすいです。捻挫後に腫れはひいたけど、音や痛みが残存する場合は、レントゲンやMRIなどを撮ってみても良いかもしれません。

もし足関節の関節ネズミと診断されてしまっても、手術では良好な成績が報告されていますので、受診先で相談してみると良いかもしれません。下記の文献では、関節ネズミの摘出で良好な成績が出ていることが示されています。

参考情報:足関節遊離体に対する鏡視下遊離体摘出術の治療体験≫≫

・【ギシギシ鳴る場合】

足首が鳴ると表現をしても、ポキポキという音ではない人もいるかもしれません。一つの可能性として、ギシギシと、きしむような音の可能性を解説していきます。
ギシギシと音がなるような足首は、関節が変形している可能性が考えられます。きしむような音は、変形した膝や股関節で生じやすいですが、足首も変形してくることがあるため、例外とは言えません。足首が変形してきてしまう原因としては、過去の捻挫をよく治していなかったり、骨折したことが原因だったり、細菌感染が原因という説もあります。これらの結果、足首が変形してきてしまうと、関節の隙間がなくなってきてしまいます。すると、足首が動くたびに、ギシギシと音がするようになってしまう可能性があります。

・【変形してしまった時の治療法】

足首が変形してしまった時の治療法としては、炎症止めの薬を患部に注射をしたり、痛み止めを内服したりする方法や、足首のサポーターやインソールで、足首にかかる負担を軽減する方法、手術で足関節の隙間を形成する方法、人工足関節置換術を行う方法などがあります。手術になると、かなり大掛かりな治療になってしまうため、なるべく変形しないうちに対処する必要があります。できれば捻挫や骨折後の治療は軽視せずに、しっかりと機能が戻るまでリハビリなどを継続した方が良いです。

・【ゴリンと音(感覚)がする場合】

ポキポキ、ギシギシという音の他に、何かが乗り上げるようなゴリンという音(感覚)がする場合があります。その原因として考えられるのは、腓骨筋腱脱臼です。腓骨筋とは、膝下外側に位置する細長い筋肉です。外くるぶしの下で大きく曲がるような走行となっており、負担がかかりやすい構造になっています。症状としては、スポーツでの切り返しの動作などで、外くるぶしの上に腓骨筋腱が乗り上げてしまう状態を、脱臼した状態と表現しています。状態が悪ければ、外くるぶしの骨折も伴う可能性があります。何回も脱臼してしまう場合は、手術が必要になる場合もありますので、注意が必要です。
下記の文献では、腓骨筋腱脱臼の手術後のリハビリの経過が記されています。経過は長くなっていますが、良好な結果が得られていることが分かります。

参考情報:腓骨筋腱脱臼に対する術後理学療法の経験 1症例の短期経過≫≫

・まとめ

いかがだったでしょうか?今回の記事では、足首から音がする現象について解説してきました。足首から生じる音の可能性として、「ポキポキ」、「ギシギシ」、「ゴリン」の3種類の音について触れてきました。「ポキポキ」は関節の緩みが原因で、関節内が陰圧になって気泡が弾ける音が原因だと考えられました。「ギシギシ」は足首の変形が原因で、関節の隙間が無くなってしまうことが原因だと考えられます。最後に「ゴリン」は腓骨筋腱の脱臼が原因と考えられました。どの音だとしても、最悪の場合は手術が必要になることがお分かり頂けたと思います。また、長期的にみると、しっかりと治していない過去の捻挫や骨折は、足首を悪くするリスクとなります。現在、捻挫や骨折の治療中の方は、痛みが無くなったから完治したと判断せずに、バランス能力や筋力など、機能がしっかりと戻るところを完治と捉えていただきたいと思います。しっかりと足首の機能を取り戻し、二度と足首が痛くならないように本当の意味での完治を目指しましょう。