コルセットはつけすぎると体に悪影響があるのか?
最終更新日 2021/12/27
接骨院がくグループ代表
柔道整復師 山田 学 監修
腰痛を経験されている方で、コルセットを使用している人も多いのではないでしょうか?コルセットは薬局でも手に入りやすくなりましたし、病院でも処方されることが多いです。しかし、コルセットはどれくらいの期間、どのように使用すれば良いのでしょうか?長期間のコルセットの使用で、弊害が出てくることもあります。今回の記事では、コルセットをつけすぎると、どのような悪影響があるのかについてまとめていきます。
コルセットはつけすぎると体に悪影響があるのか? もくじ
・コルセットはつけすぎると体に悪影響があるのか?
・コルセットとは?
・どのような時にコルセットを使うのか
・コルセットを外す時期
・コルセットを使用する弊害
・コルセットだけでは腰痛の治療はできない?
・まとめ
コルセットはつけすぎると体に悪影響があるのか?
コルセットをつけすぎると、筋力低下や締め付けによる血流の低下、動きの硬さなど様々な弊害が出てきます。コルセットをしているだけでは、腰痛の完治を目指すことができず、筋トレやストレッチなどを駆使して姿勢や動作の改善をして根本的な解決をすることが必要になってきます。
それでは、詳しく解説していきます。
コルセットとは?
コルセットとは、外部から上半身の安定性を補うためのサポーターのことを言います。締め付けて装着することにより、上半身の筋肉の代わりに安定性を生み出してくれます。コルセットの種類にもよりますが、コルセット自体に支柱が入っているものもあり、物理的に腰の動きを制限してくれるものもあります。支柱がなく、ゴムだけの素材のコルセットもありますし、しっかりと固定をしたい場合には、プラスチックの大きなコルセットが処方されることもあります。
どのような時にコルセットを使うのか
一般的なコルセットは、安静を目的にして使用されています。病院で処方される特殊なコルセットの場合は、広い範囲で上半身に圧迫を加えたり、上半身が前屈しないようにきつく動きを制限することを目的としていたりします。基本的には、必要な治療期間は装着し、治療が終了し必要無くなったら、コルセットは外します。長期間コルセットを装着しても、腰痛が良くならないという方は、コルセットでは効果がない腰痛なのかもしれないので、適切に腰痛の原因を把握することが必要になります。
コルセットを外す時期
では、どのような状態になったら、コルセットを外しても良いのでしょうか?疾患別に解説していきます。
・急性腰痛の場合
急激に痛みが出た腰痛の場合、強い痛みが減少してきたらコルセットを外していくことを考えていきます。急性腰痛は、一時的な腰回りの炎症です。その炎症が引いてくると、痛みは減少してくると思われます。腰痛は非常に辛いため、再び痛みが出ないようにコルセットを長期間使用してしまう方もいるかもしれませんが、それはよくないことです。腰痛への対処法としても、痛みが出ない範囲で日常生活を通常通りに送ることが推奨されていますので、過剰な安静は必要ありません。腰痛が出そうで心配な場合は、コルセットを携帯しておき、痛みが出た時に装着する方法が良いです。
・慢性腰痛の場合
慢性的に腰痛がある場合は、コルセット無しでも、痛みに変化があるかどうかを検証する必要があります。すでに長期間コルセットを使用しているにもかかわらず、腰痛に変化がないのであれば、コルセットの装着だけでは腰痛に対処できなくなっていることが考えられます。姿勢の改善や筋力の強化など、コルセット以外での腰痛対策をしていくべきだと思われます。
・背骨の骨折や手術をした場合
病院で、骨折や手術などで入院した時に、コルセットが処方される場合があります。これらは、骨に対する負荷や、手術をした部位に対するストレスを、軽減させる目的で処方されています。そのため、診察で骨が十分に治っていたり、手術した部位が安定していることが確認できないと、基本的には外すことはできません。コルセットを外していい時期は、主治医に相談してみてください。
コルセットを使用する弊害
コルセットは、長期間使用すれば良いというものではありません。外部から安定性を得るために体に圧力をかけているわけなので、それに伴う影響が出てきます。悪い影響は、主に筋力の低下、血行不良、可動域制限です。それぞれ詳しく解説していきます。
・体幹の筋力が落ちてしまう
コルセットを使用することで、外部から上半身の安定性を補っていることは解説してきました。この状態が長く続くと、上半身の筋肉で体を支えるというよりかは、コルセットがあることが前提で上半身を支える状態になってしまいます。つまり、コルセットの締め付けに合わせて上半身の筋肉が衰えてしまうということです。
そもそも人間には、腹筋や背筋、横隔膜や骨盤底筋群で腹腔という空間を作っています。この空間の圧を適切に保つことによって、上半身は猫背になることなく、まっすぐでいることができます。つまり、天然のコルセットがあるということです。コルセットを長期間装着してしまうと、上半身の筋力が働かなくても、腹腔の圧を維持することができるようになってしまいます。その結果、筋力が低下してしまいます。特に、寝ているときにコルセットを締め付けたままにしてしまうと、その傾向が強くなってしまいます。昼寝でも、横になったらコルセットは外すように心がけましょう。
・しめすぎによる血行不良が起き腰痛が出る
コルセットの締め付ける力は、意外と強いものです。腰痛の原因の一つとして、血流不良による腰痛があります。しっかりと上半身を安定させようとして、きつく締め付けすぎてしまうと、腰回りの筋肉への血流量も減少してしまい、痛みにつながる場合があります。腰痛が治らないと思っていたら、コルセットの締め付け自体が原因だったというような状態にならないように注意しましょう。
・動きを制限している部分の動きが悪くなる
当然のことながら、コルセットは腰の動きを制限します。長期間コルセットを着用すると、腰の骨の動きも硬くなってしまいます。腰の骨は主に上半身の前屈と後屈を担当しているため、それらの動きが硬くなってしまう可能性があります。腰骨の動きが硬くなると、骨盤の動きも硬くなるため、足の爪を切ったりしゃがみ込みをしたりといった、股関節を深く曲げる作業が大変になってきます。
コルセットだけでは腰痛の治療はできない?
コルセットは腰痛の治療のために処方されるものですが、実はそれだけでは根本的な解決にならないことが多いです。腰痛の治療には、安静や筋トレ、姿勢の改善、血流の改善、ストレッチなど、色々なことを行わないといけない場合が多いです。しかし、コルセットだけでは、患部の安静を得ることだけしかできません。自分の腰痛の原因をしっかりと特定して、それに合った治療も併用していくことが必要になります。根本的な原因にアプローチできないと、一時的に腰痛は改善しても、また再発してしまう可能性があります。
・まとめ
今回は、コルセットをつけすぎる弊害について解説してきました。コルセットをつけると上半身がかなり安定することから、動作が楽になったり安心感を得られたりすることが多いです。しかし、その感覚に依存してしまうと、自分の体がどんどん弱くなってしまいます。人間にはもともと天然のコルセットがあるため、それを衰えさせることなく、しっかりと鍛えていくことが必要です。筋力のピークは20代後半と言われているため、普段から体を動かす習慣が無い人は筋力が落ちている可能性があります。筋トレをして、良い姿勢や負荷のかからない動作を維持しつつ、コルセットとは上手に付き合い、腰痛をカバーしていきましょう。