腰痛治療に効果的な電気の種類
最終更新日 2021/08/28
接骨院がくグループ代表
柔道整復師 山田 学 監修
腰痛になったことがある方は、整骨院や病院に行き電気の治療をうけた経験があるかと思います。
この電気はどのような効果を期待して流しているのか。
どんな種類があるのか、疑問に思ったことがあるのではないでしょうか?ここでは接骨院の仕事を25年続けている立場からそれらのことをわかりやすく説明していきます。
腰痛治療に効果的な電気の種類 もくじ
・痛みに電気を使うとなぜいいの?
・腰痛にあった電気治療の種類とその効果
・痛めてすぐの腰痛に合う電気治療
・痛めてからしばらくたった腰痛におすすめの電気治療
・まとめ
・痛みに電気を使うとなぜいいの?
実はもともと人間の体には電気が流れています。
筋肉に電気を流したら動いたり、心臓を動かすペースメーカーなどを考えると体に電気が流れていることを想像しやすいのではないでしょうか?
筋肉を動かすのもそうですし、脳や心臓の働き、血液やリンパの流れなどにも電気が関与しています
これらの組織の細胞一つ一つに流れている電気のことを『生体電流』といって細胞の内側が通常『-』外側には『+』の電気が流れています。
痛みのある所や血流が滞っている所はこの細胞の電気の『+』『-』流れが逆になっていることがあります。
そのような場所は外からの電気刺激に敏感になっていて電気を加えると元の良い状態に戻ろうと回復します。その効果をねらって施術をおこなうのが電気治療の目的です。
参照元:一般財団法人 日本電子治療器学会 電器刺激とは?≫≫
・腰痛にあった電気治療の種類とその効果
腰痛に電気治療を施しますが、効果をより出すためには
痛みによって電気の種類も使い分ける必要があります。
・痛めてすぐの腰痛に合う電気治療
痛めてすぐの腰痛は痛みとともに熱感があることが多く
筋肉をあまり動かすような電気は逆効果です。
なるべく筋肉を動かさずに傷んだ組織を修復することを考える必要があります。
傷んだ腰の筋肉の中には細かい傷がたくさんあり、そこを無理に動かすことで傷口が広がり、腫れや熱感がより強くなってしまいます。
そのことでさらにもともと傷んでなかった周りの細胞も傷つけることになり、広い範囲の痛みになってしまうこともあります
痛めたばかりの腰痛にお勧めの電気は以下の2つです。
・TENS(テンズ:経皮的電気刺激療法)
痛みの信号を送っている知覚神経に反応しやすい電気です。
痛みの伝達を止めることで腰の痛みをやわらげたり、痛みで力が入ってしまってる筋肉のコリを軽減します。
痛みを感じない程度に流すだけでも除痛効果があるので痛めたばかりの時は痛みが感じるか感じないかの強さで電気を流すのがポイントです。
マイクロカレント(微弱電流療法)
体に流れている生体電流を整える電気治療です。
マイクロカレントは体に流れている電気ととてもよく似た電気で、傷んだところを挟んで流すことにより、痛みやケガの早期回復を目的に行います。
始めにTENSを患部に流し、その後マイクロカレントを流していく事で痛みを抑え、痛めた細胞も修復させることができますのでその順番で使用することがおすすめです。
・痛めてからしばらくたった腰痛におすすめの電気治療
干渉波(かんしょうは:干渉電流刺激療法)
電気を流すカップがたくさんついていて広い範囲に当てることができる治療機械を使います。
たくさんあるカップが2種類に分かれていて
その2種類のカップからそれぞれ異なる周波数の電気を流します。そのことにより2つの周波数の電気がぶつかり合い皮膚の抵抗を減らし体の少し深い所に電気が流れやすくなります。
痛めてから期間が立ってくると負傷したところ以外の筋肉もかばって張りが出てきます。
そのような時にこの干渉波は有効です。
ハイボルテージ(高電圧電気刺激療法)
高い電圧の電気を極めて短い時間流すことで痛みが感じにくく工夫された電気です。
なるべくボリュームを強く上げて患部に当てていきます。皮膚の抵抗を受けにくいので深部の痛みの根本治療を行うことができます。
立体動態波刺激療法
1つのカップの中に電極が3つずつ設置されている治療器を使います。
その3つの電極同士がセットになっていてそれぞれから異なる電気が流れます。
モードを設定することによりそれらを複雑に3次元的にクロスさせていきます。
立体動態波では表層から深層まで治療のポイントをまんべんなくカバーすることができます。
ラジオ波
深部を加温することでできる電気治療です。痛めた組織を2つのアースで挟むことで損傷した筋肉などに栄養たくさんの血液を送り込み回復させます。
腰痛が長引き筋肉や関節、腱の硬さが残ってしまった腰痛に最適の電気治療です。刺激感も心地よく柔軟性を向上させるので腰痛の再発防止にも役立ちます。
・まとめ
腰痛で電気を使う目的は
① 痛みを抑えること
② 生体電流の流れを正常に戻すこと
腰痛の経過に合わせて電気を使い分けること
痛めたばかりの時は
TENSをしてからマイクロカレントの順番で行うとよい
痛めてしばらくたった腰痛は
痛みや張りが広い範囲なら干渉波
深い所の痛みならハイボルテージ
深い浅いをまんべんなくなら立体動態波
深い所の硬さをとるならラジオ波
が適している